日々の症例 24 脳動脈瘤




24-140歳代、男性。高血圧症のスクリーニングでMRAを施行

>画像所見 : MRアンギオで前交通動脈 (Acom) 2×3mmの小さな動脈瘤が描出されている()。左前大脳動脈水平部(A1)の描出は不良で、しばしば経験する低形成と思われる(矢頭)
>診断 : 脳動脈瘤

>解説 : 
MRI装置の高性能化によって2mm前後の小さな脳動脈瘤も比較的容易に発見できるようになった。本例のようなスクリーニング検査で発見された未破裂脳動脈瘤の取り扱いについては多くの議論があるが、患者の余命が1015年以上あると推測できる場合には、下記の基準を参考にしてクリッピング手術や血管内治療などの治療を検討することが推奨されている。
 15mm以上の未破裂脳動脈瘤
 25mm未満であっても
   a) 症候性の場合
   b) 後方循環、前交通動脈、および内頚動脈-後交通動脈部などの部位に存在する場合
   c) Dome/neck aspect比が大きい、不整形、ブレブを有するなどの形態的特徴のある場合
  本例では左A1の低形成のため右A1Acomが太くなっており、しかも基礎疾患が高血圧症であることを考えれば、厳重な経過観察あるいは手術的治療が必要と思われる。手術のリスク、動脈瘤破裂のリスクなどについての十分なインフォームドコンセントの上、左前頭側頭開頭でneck clipping術が施行された。

  24-260歳代、女性。TIA

>画像所見 : 右中大脳動脈M1末梢分岐部に2mmほどの微小動脈瘤がみられる。
>診断脳動脈瘤
解説 : 中大脳動脈は、①水平部(M1②島葉動脈群(M2③弁蓋部(M3)④脳表部(M4,5)に区分される。M1は島部で分岐するが、この分岐部は脳動脈瘤の好発部位でもある。約20%が2分岐bifurcation、約50%が3分岐trifurcationを示し、まれに4分岐や5分岐を示すものもある。

<メモ>
脳動脈瘤の好発部位:
IC-PC 35%、A-com:各35%>M1末梢分岐部 20%>Basilar topdistal ACAICA topophthalmic a.anterior choroidal a.basilar trunkVA-PICAPCA
IC-PCAcomBAの動脈瘤は破裂しやすい。
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